『システム提案で勝つための19のポイント』を読んでみました−(1)概要
これまではシステム構築・アーキテクチャ設計およびプロジェクトマネジメントといった業務をメインに担当してきたのですが、この度新たにシステム提案を行うことになりました。(そういう時代ですかね。)
…なんですが、そういった経験が皆無なので、何から手をつければ分からない状況です。
そこで、コンサルの方から下記書籍を紹介されたので、読んでみることにしました。
◆野間彰 『システム提案で勝つための19のポイント』 翔泳社
- 作者: 野間彰
- 出版社/メーカー: 翔泳社
- 発売日: 2006/04/11
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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しばらくは、提案の勉強を兼ねて、同著を読んで気がついた点を自分なりにまとめてみようと思います。
(以下、断りがない限り「同著」と表記します。)
1.概要−システム提案が重要視される背景
ここ数年、ICT 業界における「システム提案」のウェイトが大きくなってきています。
私の所属している会社でも、「システム提案」を強化するために新組織が立ちあがっているほどです。
それでは、なぜ最近この「システム提案」が重要視されるようになってきたのでしょうか?
同著の序論によると、主に次の3つの理由があるようです。
(1)市場の成熟化によるパイの減少
主要企業のシステム化が一段落し、新たな案件が生まれにくくなっているようです。
また、昨今の不況により、顧客側の財布のひもが以前よりも固くなっており、新たな案件が少なくなってきています。
(2)顧客側の発注制度の高度化
よりよいシステムを安価に入手しようと、顧客側がこれまでの随意契約から競争入札へシフトするようになってきました。
また、システム部門だけではなく、ユーザや経営層も提案の評価者として参加するようになりつつあり、提案の評価のされ方も変わり始めてきました。
(3)顧客側の要求の高度化
顧客側のニーズも、これまでのような単なるシステム化による業務効率の向上だけではなく、会社の経営や利益に資する提案を求めるようになってきています。
上記のような理由により、以前よりもシステムの提案・受注が難しくなってきており、「システム提案」の能力向上が ICT 企業の大きな課題となってきているようです。
2.どうすればよいのか?−「提案スキル」の顕在化
ICT 企業における「システム提案」の難易度が高まる一方で、同著では継続的にシステムを受注しているベンダーや提案者の存在を指摘しています。(序論 3ページ)
そうしたベンダーや提案者の注目すべき点は、「提案スキル」を明確化・体系化し、それらを継続的に教育している点にあるとしています。
つまり、「システム提案」の能力を高めるためには、そうしたベンダーや提案者が採用している「提案スキル」を学習すれば良いということになります。
3.何をすればよいのか?−学習すべきポイント
「提案スキル」の前提として、顧客からの提案要望があってから検討を開始するのでは遅く、提案要望がある前から事前に準備をしておくことが必要であると、同著では指摘されています。(序論 4ページ)
具体的には、以下のことを事前に行っておくことが必要になります。
- 事前に顧客の要望の仮説を立てる。
- 技術面の事前検証や関係者への聞き取りなどで、提案に必要な情報を収集する。
- 収集した情報を元に、仮説の精度を高め、提案可能な準備を整えておく
こうした事前準備型の提案を行えるようにするために、以下の4つの観点からの「提案スキル」の向上が、同著の全体のテーマとなっています。
- 引き合い前の活動
- 新たなテーマの創出
- 提案活動
- 日頃の準備
つづき
次は、「引き合い前の活動」についてまとめていこうと思います。