情報処理学会の現場
2014年3月13日に、東京電機大学で開催された「情報処理学会 第76回全国大会」のセッション『ビッグデータ時代に立ち向かうイノベイティブなシステム開発〜Agile, Big-data, Cloud, DevOpsのプラクティスから 〜』で、リーン開発とアジャイルについてお話してきました。
当日発表したスライドはコチラです。
今回の発表に際しては、「現場での具体的な実践例と、そこから得た知見についてシェアして欲しい」というディレクションがありました。
そこで、私が昨年関わったプロダクト開発の現場での、リーンソフトウェア開発とアジャイルの実践のお話をさせていただきました。
ポイントは次の3つ。
- 課題や成果については常に数値を計測して、数値の推移に基づいて判断・行動する癖をつけよう。
- 改善を続けても、ボトルネックはなくならずに移動していく。このことを把握した上で改善を続けよう。
- 自動化やコラボレーションの仕組みを徹底的に活用しよう。
参考までに、今回のプレゼンにあたって作成したマインドマップはコチラです。(※astahを使ってます)
同僚からのレビュー指摘事項。
発表の現場
「学会」という言葉の雰囲気に飲まれてはいけないと、いつもの普段着で行ってきました。
中邑真輔 「YeaOh ! 」 Tシャツ (BLACK) M
- 出版社/メーカー: 新日本プロレスリング
- メディア: ウェア&シューズ
- この商品を含むブログ (1件) を見る
自分の名前(会社名入り!)が目に入り少しガクブルしましたが、DevLOVE などのコミュニティでいつもお世話になっている土肥拓生さんと新井剛さんも来てくださったので、ほとんど緊張せずに話すことができました。
発表
私(リーン開発・アジャイル)→ IBM の永井さん(DevOps)→ Yahoo!Japan の角田さん(BigData)の順に、各自の現場での取組をお話させていただきました。
3人全員が、「数値計測とその推移に基づいてアクションすること」「一歩一歩改善を続けていくこと」を強調していたのが面白かったです。みんな行き着くところは同じなんだなと。
また、角田さんが紹介されていた3.11の動画が、BigData を非常に直感的で分かりやすく説明する内容で、正直「悔しいな」と思いましたw
http://promo.search.yahoo.co.jp/searchfor311/
パネルディスカッション
3人の発表後、聴講者の皆さんから質問を募って回答する形式で、パネルディスカッションを行いました。
実際にいただいた質問と私の回答を、覚えている範囲でまとめます。
●複数拠点での分散開発は行っているか? 行っている場合、何か気をつけていること・工夫はあるか?
一応やっている。JIRA などのプロジェクト管理ツールを利用して、各拠点で情報を一元化・共有できるようにしている。但し、人数的な生産力の増加以上にコミュニケーションロスのマイナスが大きくなりがちなので、私は分散開発はお勧めしない。
●Waterfall をやっている組織に対してアジャイルを導入する際に気をつけることは?
その組織を観察し、マネージャも含めて一番大きな問題となっていることを最初に解決するようにする(テストしづらい→CI導入とか)。また、開発チームの生産性アップとかだけではなく、あくまで売上・利益の向上/顧客満足の向上にフォーカスした施策を打つようにする。(でないと改善の視点がぼやける)
●これからの時代、どのような人材が必要か?
売上・利益の向上/顧客満足の向上にコミットし、自分の専門外の分野にも積極的に関わるマインドを持った人材。即戦力の技術力を今持っていなくても、そのようなマインドを持ち学習しつづけられる人であれば素敵。
●今の情報処理系の学生に特に勉強して欲しいことは?
テスト(即答)
単体・結合テストの意義と意味、テスト設計手法、xUnit の使い方は必須。
学会でお話させていただいたのは今回が初めてでしたが、今までの仕事やコミュニティとはまた違った刺激が得られて滾りました。
関わられた全ての皆さんに、本当に感謝です。