The HIRO Says

If you smell what The HIRO is cooking!!!

オンラインイベントをより「productive」にする1私案

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昨日9/18(土)、XP祭り2021に参加させていただきました。また、久々に登壇もさせていただきました。

同イベントは、20周年記念であることに加え、キーノートの同時聴講者数が400名前後に達するなど、非常に盛況でした。

一方で今朝、気になる投稿を見つけました。


実は私も、聴講者からのフィードバックを少しでも取り入れて場を盛り上げようと、スマホでDiscordを表示しながら登壇していたのですが、

「それって間違ってない?」

的な言葉がまず目に入ってウッ!となってしまい、その「不快感」的なものを消化しきれないまま朝を迎えました。*1

その一方で、上記投稿を見た際、「これは整理する価値のあるモヤモヤなのでは?」との思いも、同時に抱きました。

そこで、自身の気持ちを整理する観点からも、思いついたことを徒然にまとめてみました。

個人的体験の整理

  • 問題点(だと思うこと)を指摘することを、「常に絶対的に正しいこと」と信じている人はいます。
    • 加えて、どれだけキツい表現を使っても「許される」と「拡大解釈」している人もいます。
    • さらに、「不快感を感じないスキルを持つのが(指摘される人の)マナーだ」とおっしゃる方もおります。
  • キツい表現を、「キツいもの」と認識せずに使っている人はいます。
    • これは、年齢ではなく、気付いているか/キツいという経験をしたことがあるかどうかの問題だと、個人的には思っています。
  • 登壇者よりも「優位に立ちたい」観点から、誹謗中傷に及ぶ人もいるかも知れません。
    • SNSクソリプ問題やマウンティングに相当するものです。

聴講者が上記のように振る舞うことで、登壇者が「嫌な思い」を強く感じてしまい、結果登壇を止めるに至った場合、それは我々にとって「プラス」なのでしょうか?これは、一度考えてみる価値のある問いだと思っています。

「言葉の不快感」にまつわる理論

  • マインドフルネス
    • 私たちは会話の際、相手の表情や声色などの情動的な情報も加味して、内容を解釈します。
    • 一方でメールやチャットなどのテキスト情報は、情動に関する情報がすっぽり抜け落ちます。
    • 私たちは、相手の情動に関する情報が得られない場合、相手の情動を「捏造」します。加えて、「捏造」した情報は、ネガティブなものになりがちです。
    • ゆえに私たちは、テキスト情報だけに接すると、「不快な」メッセージとして捉えがちです。
  • アンガーマネジメント
    • 私たちは、出来事や言葉を、「コア・ビリーフ」(Core belief、私たちが普段信じているもの/価値の判断基準にしているもの)に基づいて解釈します。
    • コア・ビリーフは、人によって異なります。(前提が異なるとも言えます)
    • 私たちは会話をする際、通常お互いのコア・ビリーフを明らかにしません。
    • ゆえに私たちは、コア・ビリーフが全く異なる人からの言葉を、「言葉足らず/的外れな指摘」と感じて、怒りの感情につなげがちです。
  • NVC
    • 私たちは、「正しい」・「正しくない」のような言葉を使われると、身構えたり拒絶する態度を取りがちです。
    • これは、「正しい」・「正しくない」といった言葉に、自身の価値基準と異なる「評価」を他者が「押し付ける」側面があるためです。
  • Motivation 3.0
    • 私たち人間は、己の能力を伸ばして「熟達」に向かいたいという動機付けを持っています。
    • 動機付けの観点から、能力を伸ばすことに役立つフィードバックは、非常に効果的です。


Win-winになるための私案

登壇者・聴講者が、以下の形で協力しあって、一緒にセッションを作れるようにすれば良いのでは?と思っています。

  • 登壇者は、「熟達」に達するために、セッションを通じて己の能力を伸ばす。
  • 聴講者は、登壇者が能力を伸ばすことに役立つフィードバックをすることに注力する。
  • 登壇者はそれらを「報酬」と捉え、さらに能力を伸ばすことができる。


また、上記を実現するために、以下の工夫も必要と考えます。

  • 登壇者・聴講者双方は、可能な限り「コア・ビリーフ」を明らかにする。
  • 聴講者は、「正しい」「正しくない」のような、自身の価値基準を押し付ける言葉遣いを避ける。
  • 聴講者は、登壇者のトピックの補足や、話すスキルを高められる投稿をする。
  • 聴講者は、テキストだけではなく、ボイスチャットなど情動を伝えやすい手段も活用する。
  • 登壇者は、聴講者からのフィードバックに感謝の意を伝える。


わかりやすく一行で表記すると、

「登壇者 vs 聴講者」「登壇者 + 聴講者 = イベントを最高にする」

と言えるでしょうか。


書いていて気づきましたが、これってキーノートスピーカーの平鍋健児さんがよくお話される、

「あなた vs 私」ではなく「問題 vs 私たち」の構図を引き出す

と、本質的には同じなのかも知れませんね。

参考書籍

*1:投稿の続きには、きちんと「(自分の)前提が間違っていたようです」との補足がなされていました。