解決したい課題
例えば、スクラムを採用しているケースで、スプリント期間中に全てのスプリントバックログアイテムを完了できないことがある。その原因として、突発的な障害対応や急なレビュー依頼など、想定外の割り込みタスクが多いという意見が出ることがある。しかし、具体的にどの程度の頻度・量の割り込みタスクがあるのか、コレガワカラナイ。これが分からないと、適切な対策を打つことが難しい。
解決方法
「割込率」を算出する。
割込時間 = 総勤務時間 - 割り込みなく仕事を出来た時間 割込率 = 割込時間 / 総勤務時間
利点
- 作業の遅れや割り込みを、客観的な数値で他者(特にマネージャ)に説明できるようになる。
- 割り込みの頻度と量が分かるため、関係するチーム・メンバーとの交渉を進めやすくなる。
- 割り込みの頻度と量が分かるため、減らすための具体策がチームから出やすくなる。
注意点
初めのうちは、割り込み時間そのものを記録することが面倒だとチームメンバーに思われがち。その場合、まずは割り込まれた日時・回数・その内容(箇条書きレベル)を記録するだけでも十分な情報となる。
補足
1) Focus Factor
Henrik Knibergさんの『Scrum and XP from the Trenches』では、「Focus Factor」(=作業に集中できる比率を表す係数)の用語が使われている。スプリント計画の見積もり時に、Velocityにこの値を掛けることで、割り込みを考慮した真のVelocityを算出できると説明されている。
真のVelocity = Velocity * Focus Factor
ちなみに、Focus Factorを算出するためには、事前に割り込みタスクに掛かった時間を累計しておく必要がある。
2) DevLOVE関西でのワークショップ結果
2015年3月7日にDevLOVE関西さんで開催したワークショップ『メトリクスによる「見える化」のススメ: エッセンシャル・リーン』では、実に半数以上のチームが、この割り込みの見える化にトライしていた。逆に言うと、割り込みを「見える化」するという発想まで行き着きにくいのかも。
関連するメトリクス
※後日追記予定
参考文献・資料
1) 『Scrum and XP from the Trenches』 by Henrik Kniberg
2) 現場実践主義としてのリーン開発とアジャイル from Rakuten, Inc(26ページ以降)
CHANGELOG
- 2015/07/30 第1版公開