The HIRO Says

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XP祭り2014で、メトリクスについてLTしてきました

たまにはガチな話を。
2014年9月6日(土)の「XP祭り2014」LT大会があったので、一発ぶちにいってきました。


発表資料は↓コチラです。

先日ポストした『Agile2014に参加してみて分かった昨今の世界のアジャイル事情』の内容も踏まえ、ここ1年半ほど現場で試行錯誤している、プロジェクトのメトリクスの話を全面に押し出してみました。
ちなみにサブタイトルは、最近出版されて名翻訳と名高い『エッセンシャルスクラムにインスパイアされておりますw


発表の意図

今回の発表は、明確に「開発者」と「マネージャ」双方の甘えに釘を刺すことを目的としていました。
ここ1年ほど、「開発者」と「マネージャ」双方のロールをこなすようになり、「マネジメントの意図」が徐々に理解できるようになってきました。
そうすると、「アジャイルをやりたい」と主張する「開発者」と、そうした動きを拒む「マネージャ」の双方の主張に穴が見えてきたんですね。
私の「メトリクス」の活用には、この穴の存在に気付かせること、そしてこれを埋める方法を考える癖をつけさせるという意図があります。


対開発者

開発者が「アジャイルをやりたい」と言ってきた時に、その理由を尋ねてみると、「楽しく仕事をしたい」と返されることがなりにあります。しかし、「楽しく仕事をしたい」は改善の目的になるのでしょうか?また、「楽しくしたい」ということは、「今の仕事が楽しくない」ということでもありますよね。では、何で「今の仕事が楽しくない」のでしょうか?
この手のケースで真因分析を進めていくと、大概開発者の次の本音に行き着きます。

  • 開発だけに集中したい
  • 自分たちを理解してくれないマネージャの言うことを聞きたくない


でも、よっぽど少人数のスタートアップ企業でもない限り、プロダクト開発はプロジェクト形式で行われ、そこにマネージャは存在します。また、組織構成上の上司-部下の関係も絶対に避けて通ることはできません。である以上、あらゆるプロダクト開発は、このマネージャのニーズを満たす必要があります。
マネージャやお金を出してくれるお客さんの意向にかなう改善活動でなければ、何をやっても開発者たちだけの自己満足ないしは部分最適に終わります。であれば、プロジェクトや組織に責任のあるマネージャはそうした活動を止めざるを得ません。


なので、開発者だけで「楽しさ」だけを追求してアジャイルなどをやってもダメだと私は考えます。


対マネージャ

一方で、開発者に疎まれるマネージャがなりにいることも事実です。いやちょっと違うな。マネジメント自体を出来ない「マネージャ」が多いという方が正しいかも知れません。
「マネージャ」という立場にありながら、下記のことができない人が非常に目につく。

  • プロジェクトの目的を説明できない
    • お客さんないし事業部から「やれ」と言われたとかではなく、「これを作ることでこのような新規ユーザを開拓できるから作る」という形で目的を説明できる人でないと、チームメンバーステークホルダーも困る。
  • プロジェクトの状況を具体的に把握する手段を持っていない
    • 「なるはやで」しか言えない人は、「私は馬鹿です」と言っているのと正直大差ないと思っています。
  • マネジメントする意思・意欲・知識を持っていない


こうした「マネージャ」は、「開発者」やステークホルダーに適切な説明をできず、チームメンバーという意味での「開発者」に責任を押し付けて逃げ回ることが非常に多い。そうした人の元では、人もプロジェクトも回らんのですよ。


メトリクスにかける思い
  • まず「マネージャ」には、プロジェクトの目的とそこに至る道筋を説明できるようになってもらいたい。そして、そこに至る過程で問題があった場合に、それを素早く察知してメンバーに注意喚起し、改善を促すような行動を取って欲しい。その過程でメトリクスを活用してもらいたい。
  • 次に「開発者」には、ユーザおよび「マネージャ」に提供すべき価値・情報を考え、それらを自発的にかつ「マネージャ」に分かりやすい形式でタイムリーに提供できるようになって欲しい。ここでもメトリクスが役に立つだろう。
  • 上記の行き着く先として、全体最適を考慮できる「開発者」による自己組織化された職能横断組織によるプロダクト開発を実現する。「マネージャ」は、そうした動きを支えることに注力する。


一応遠大なことを考えているのですよ。


発表時の裏話

当日の発表順はランダムで決定されたのですが、例年野球のセイバーメトリクスの LT をされる中川さんの直後になったので、話のつながりとしては非常にタイムリー、いやタイムリーヒットでした。


ちなみに、今回の発表で触れている臨床実験は、渡邉太一さんのチームで実施させていただいたものです。

  • レビュー回数の見える化を強く主張したのは私ですが、レビュー回数をシールで見える化しようと発案したのは太一さんです。
  • 改めて説明する必要はないと思いますが、チーム内で実際にビットコインで大損こいた人はいませんでしたw


さらに、「臨床実験」という単語のチョイスは、下記動画/プレゼンのオマージュです。(こちらもメトリクスを活用した素晴らしい動画なので、是非皆さんにご覧になっていただきたいです。)


Twitter の TL からみた参加者の反応

概ね好評だった…のかな?


ちなみに滝川さんのブログに、「滾りませんか!?」と言った時にドヤ顔していてイラッ☆とされたと書かれていましたが、ぶっちゃけ「滾りませんか!?」と言ったときの反応が予想よりも良かったので、ちょっと楽しかったのです。


見える化勉強会の予定

最後に「Coming soon」と書いてはいますが、既にいくつか予定立てています。

まず社外向けに、9月19日(金)に『第八回ゆるぎー メトリクスによる「見える化」のススメ: エッセンシャル・リーン』で、メトリクスに関するワークショップを開催予定です。
30人定員のところ既に満員となっておりますが、主催者のてらひでさんによると、キャパを増やす予定とのことです。


また社内でも、今週の大阪出張を皮切りに、興味のあるチームを対象にまず勉強会を始めていきます。また、有志ベースの定期勉強会を、10月以降を目処に開始予定です。


他の方の LT

てらひでさんが下記を英語で LT されたのは、本当にビッグチャレンジで素晴らしかったと思います。


てらひでさんによると、先日私が DevLOVE 現場甲子園 2014 で下記資料を英語でプレゼンしたのに刺激を受けて、英語でチャレンジする!と決意されたそうです。そう考えると、私も少し Change Agent らしいことを出来たのかな?