The HIRO Says

If you smell what The HIRO is cooking!!!

I、会社辞めるってよ

今日2015年1月23日(金)、我がTDDグループの同僚のI君が会社を去りました。

私が過去十年ほどで育ててきた人の中では、間違いなくダントツのトップ。私がTDDグループ・アジャイルコーチングの名前で推し進めてきた自動化技術基盤によるアジャイル的組織改善・プロジェクトメトリクスについてもキチンと理解してくれている上、自身の情報工学の知識を活かした独自施策もステークホルダーとキチンと調整しながら実現してくれました。

今回、本人の夢や日頃の不満をじっくり聞かせてもらい、今回の決断が彼の人生にとってプラスが大きいものであると私も判断し、彼の夢を後押しすることにしました。

ぶっちゃけ言うと、「後輩」というよりも「パートナー」と認識して接していた存在なので、喪失感は大きいです。ものすごく大きい。しかし、20代後半とまだまだ若いこと、また私が信頼している仲間だからこそ、私に縛られずに全力で暴れて成果を出しまくって欲しい。そして私を焦らせて欲しい。

今回は、I君に贈る言葉や思い出話を、誰に何と言われようとダラダラ書きます。

初対面-最初のプロジェクト

I君と一番最初に会ったのは、2013年のGW直前。私がここ1年ほど発表している下記資料のプロジェクトがまさに彼との出会いです。

初めて会った時の正直な印象は、プロジェクトメンバー内でシステムの中身と組織の課題を肌で知っている唯一の人間だったということ。正直当時から、私の目には図抜けた存在に見えました。

一方で、次のような悩みも抱えていて、これが彼の成長を著しく阻害しているとも感じました。

  • 事業部・上司に言われたことは、死んででも達成しなければならないという思い込みが強かった(そもそもそういう文化の部署だった)
  • いつも大量の仕事を押し付けられていて、考える余裕を失っていた
    • 何でも押し付ける悪質な先輩がいたということでもありました
  • 物事の説明が下手(エンジニアあるあるの、エンジニアしか分からない言葉でステークホルダーと話す癖が特に強く、コミュニケーションミスが多かった)


現状を色々と分析した結果、私がこのプロジェクトでアジャイルコーチとして振る舞うに際しては、彼を軸にしながら自動化技術基盤を確立しつつ、彼を取り囲む悪癖をアジャイルのプラクティス・マインドセットらで1つ1つ解決していくことが、結果的に物事を先に進めやすいと判断しました。

この際の課題認識と施策、およびその成果は、Agile2014の論文としてまとめさせてもらいました。


ちなみに、以前Android Test Casual Talksなどでお話させていただいた、GenymotionとJenkinsを連携させる話をGenymotion社に教えたのはI君です。

TDDグループへのサルベージ

その後色々あり、2013年末に私が上記プロジェクトを離れることになりました。

私がいなくなってしばらくしてから、マネージャ陣や先輩たちがI君に対して、あらゆる仕事を押し付けてきたそうです。(詳細を書くとグロすぎたり個人を特定できたりできるのでこの程度で。)で、I君がパンクして退職するのは時間の問題だろうという話も各方面から耳に入っていました。

これだけ有能な社員を、理解のない人たちに使い潰されて人生を台無しにされてはいけないと私は思い、関係者を説いて回って、私の所属するTDDグループにサルベージしました。これが2014年の2-4月頃ですね。

TDDグループ:河原での殴り合い

TDDグループに加入してすぐ、自発的に仕事を見つけてきては進めるというスタイルを取ってくれたので、ぶっちゃけそこは期待通りでした。

一方で、エンジニアあるあるがどうしても抜けなくて、「その施策をやるビジネス的価値と意図を教えて」と質問しても応えられなかったり、或いは逆ギレされることが何度もあったね。特に9月くらいまでは。

ただ、何度かの衝突を経て話し合いを続け、実際に成果が出てくると、俺のアジャイル組織論とかメトリクスを理解できるようになってきたよね。また、ビジネス的観点から何をすべきか/すべきでないかを言い始められるようになってきたね。

あと、JenkinsをMaster-Slave構成にしてくれて負荷を劇的に下げてくれたこと、またJenkinsの設定にChef/Dockerを適用し、各サーバの設定差分を簡単に吸収できるようにした上に、開発者がインフラにPull Requestを送ればOKという仕組み・ルールも作り上げてしまったことは、間違いなく歪みねぇ成果でした。

正直、「組織外部からの」アジャイルコーチとして振る舞ったため、組織内部にいる時以上にマネージャ陣らとの意見調整や、その時の社内政治情勢にも翻弄されて大変だったろうと思う。でも良く乗り越えて、成果を出してくれたと思う。

あのあと結局、俺たちの成果、バッチリ認めてもらえていたよね。あれが俺がI君に贈れる餞別かな。

贈る言葉

Never say never.

これは、「二度と会えない/戦えないということは、この業界では絶対ないぜ」という意味のプロレス用語です。なぜかダンガンロンパとかが引っかかるけれども無視で。

私が最初のプロジェクトを離れることになり、チームメンバー、特にI君が不安を吐露した際にも言っています。
で、実際にneverじゃなかっただろ?そういうことです。

この業界は、何だかんだ言っても狭い。またコミュニティやカンファレンスもあるので、そういう場でお互いの成果をぶつけ合うのもありなんじゃないかな。何と言っても、俺が造った「最強のチーム」の一員なのだから。

また会うの、楽しみにしているぜ。

贈った本


以下の本は君にあげたものだから、隅から隅まで熟読し、次の職場で目一杯活かしてね!!

  • 『How to Change the World』(Jurgen Appelo)